珠光青磁 そして陶々庵 (名古屋店より)
2020.11.10
青磁というと丹精な淡い緑青色釉の陶器を思い浮かべてしまいます。
けれども、こちらの茶碗~青とはおよそかけ離れた
褐色を帯びて かなり侘びた 珠光好みの風情です。
遥か800年前の鎌倉時代初期、
中国から宋風の喫茶法がもたらされるとともに
いわゆる天目や青磁の茶碗が請来(しょうらい)され、
その数は今日我々が想像する以上であったとか・・・。
その中から数奇な運命(多分^^)を辿り、風光舎 名古屋店に来店したこの茶碗。
なんと陶々庵(黒田領治氏)の極書が付いております。
黒田氏は愛知県の生まれ、銀座の店に奉公に出て日本橋に自分の店を構え、
ついには念願の銀座に『黒田陶苑』を開いた人物です。
かの北大路魯山人の専売店でもありました。
陶芸を芸術にまで高めた、
そんな役割も果たしたのですね。
閉店前の店内で、
消灯前のランプの明かりに
ふっと陶器への様々な想いが過(よ)ぎりました。
Staff T