螺鈿の買取について
2025.01.26
螺鈿は漆器などに施される装飾のひとつでして、夜光貝などの美しい貝を使い、宝石のような美しさに仕上げたもであることはご存知かと思われます。詳しくは「螺」は螺旋状の貝殻を指し、「鈿」は貝や金属などを使う飾りを指し、螺鈿に用いられる巻貝は一般的に栄螺(さざえ)のように渦を巻いたものを指しますが、現在ではアワビ・夜光貝・シジミ・蝶貝なども使われています。どの貝も色合いが美しく、キラキラと輝くような見た目をしているのが特徴。
材料となる貝に彫刻を施し、漆器の表面や木地などにはめ込む技法であり、非常に繊細な技法で、少しの加減で表面の輝き方や色合いが異なるのも魅力のひとつであります。さまざまな文様や模様が表現される螺鈿ですが、使う貝の種類によっても仕上がりが異なります。
すでに正倉院の時代にはすでに日本へ渡っており、螺鈿の歴史はそれはそれは古くて、最初に作られるようになったのは紀元前3000年のエジプトだといわれております。5000年前から現在と同じように貝のキレイに光る部分を切ってはめ込んでいたようで、初期王朝の頃のものとされる遺跡からは、立派な螺鈿が施された装飾品が多数出土されております。
日本に螺鈿が伝わったのは奈良時代でして、エジプトからではなく中国の唐からとされています。作り始めたばかりの頃は琥珀や鼈甲(べっこう)と組み合わせながら、楽器の装飾に多く使われていたそうでして、正倉院の螺鈿紫檀五絃琵琶などもその時代のものであります。
時代が進んで平安時代になると螺鈿の技術は急激に発達し、蒔絵(まきえ)などと併用することでさらに美しい装飾品が作られるようになります。国宝片輪車蒔絵螺鈿手箱などは平安時代の作品です。
鎌倉時代には螺鈿が巷で流行になるほど人気が高まり、馬の背中に乗せる鞍の装飾に用いられることが増えていきます。
江戸時代に入ると、貝を好みの色に染色して使うようでして、貝を染色することにより作品作りの表現の幅が広がりそれまで以上にさまざまな作品が作られるようになったのですが、鎖国によって海外との貿易が縮小されたため、職人たちは国内へ向けた作品作りに切り替えます。当時の有名な螺鈿の作品ですと、尾形光琳作「八橋蒔絵螺鈿硯箱」などがあげられます。