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気にとめることのなかった屏風(愛知県名古屋市千種区姫池通 古美術買取 古美術風光舎)

2023.01.29

こんにちは、スタッフYでございます。

 

先日、ちょっと気が早いとは思ったのですが、自宅にてお雛様を飾りました。ひな壇を組み立て、赤い毛氈をピンと敷き、まずは屏風から飾っていくのですが、屏風を飾った瞬間に何もないひな壇が一気に晴れやかになっていきます。

 

小さな雛飾りの屏風でさえ、それくらい空間を一気に変えてくれる屏風。木と石と紙でしか構成されていなかった昔の人の暮らしの中に、家具なのか、調度品なのか、絵なのか…?。

 

と思ってしまいますが、屏風(びょうぶ)の「屏」は「おおって防ぐ」「さえぎる」などの意味があり、もともとは、風をさえぎり、外からの視線を避けるための道具でありました。

 

その後、平安時代の頃から屏風に絵を描くことで、芸術的な価値のある調度品として発展をいたしますが、そう、我々がイメージする屏風絵になってまいります。それにしてもシンブルでいて曖昧な存在でいて…ぱたぱたと広げるだけで空間を一変させるすごい存在に、ふとよく考えたものだなぁ…とあらためて感心致します。

 

石崎光瑶作(砺波美術館)

 

ところで、屏風は「扇(せん)」と呼ばれる縦長の画面を6枚つなぎ合わせた「六曲屏風」が基本形。右側が「第一扇」で、左へと視線を動かすことを想定して描かれております。「二曲」「四曲」「八曲」と画面の数にはバリエーションがあるのですが、屏風を数える単位は「隻(せき)」。ちなみに「隻」は単数を示す助詞で、「隻眼の武将・伊達政宗」のように、「本来は対であったものの片側」を指す言葉であります。そういえば、扇ごとに右側から左側えと絵が流れていき、視線を動かすと自然とストーリーをよんでいっていますよね。

 

 

石崎光瑶作(砺波美術館)

 

石崎光瑶作(砺波美術館)

 

棟方志功作(砺波美術館)

 

 

先だっての秋の東博の国宝展でも屏風絵はやはり見栄えしますので、展示物の中でも花形だったような。俵屋宗達筆「風神雷神図」や、長谷川等伯筆 国宝「松林図屛風」などには、多くの方が足を止め屏風の中のストーリーなのか、己の心の中なのか分かりませんが、様々に紐解きながら眺めている方が多かった気がいたしました。

 

 

 川合玉堂作(国立西洋美術館)

 

それにしても、現代の住宅事情や生活様式においてそんな大きな屏風を身近に愛でることはなかなか難く、屏風の存在が消えていかないか心配ではあります。

 

我が家も屏風が飾れる豪邸だったらなぁ思う次第なのですが、いやぁ無理でしょう笑。せめて、この小さなお雛様の屏風に、その気分だけでも味わうのが精いっぱいか…。

そんなことをふと思いながらお雛様は飾られていきましたが、案の定、今年も三人官女の位置がわからなくなるのが定番でありました笑。

 

それでは、ごきげんよう。

 

 

 

Hello, this is Staff Y.

 

The other day, although I thought it was a little early, I decorated Ohinasama at home. We assembled the hina-dan, laid out the red carpet, and started decorating with the folding screens.

 

Even a small folding screen can change the space at once. In the old days, when people’s lives consisted only of wood, stone, and paper, a Byobu could be considered furniture, furnishings, or a picture. The “byobu” in the word “byobu” means “to cover” or “to block,” and was originally used as a tool to block out the wind and to avoid the eyes of the outside world.

 

Later, during the Heian period (794-1185), by painting pictures on byobu, they developed into artistically valuable furnishings, which is how we came to imagine byobu-e. The Byobu is a simple and ambiguous object that can transform a space just by flapping it open.

 

By the way, the basic form of a folding screen is a “Rokkyoku-byobu,” which consists of six vertical screens called “Sen,” joined together. The right side is the “first fan,” and it is painted with the intention of moving the viewer’s gaze to the left. There are variations in the number of screens, such as “Nikkyoku,” “Shikkyoku,” and “Hakkyoku,” but the unit for counting screens is the “隻(seki). By the way, “隻” is a particle indicating the singular number, and it refers to “one side of what was originally a pair,” as in “Date Masamune, the warlord with a pair of eyes. By the way, the pictures flow from the right side to the left side of each fan, and as you move your gaze, you naturally read the story.

 

At the National Treasure Exhibition at the Tokyo National Museum of Fine Arts in the fall, the folding screen paintings were also very attractive, and I think they were the most popular among the exhibits. Many visitors stopped to look at “The Wind and Thunder Gods” by Sotatsu Tawaraya and “Byeongpu of Pine Trees” by Tohaku Hasegawa, both National Treasures, while trying to understand the story in the screens or in their own minds.

 

I am worried that the existence of Byobu will disappear. I wish I had a big house where I could display a folding screen, but I guess that’s impossible. I wish I had a mansion where I could display a folding screen, but I guess that’s not possible, lol.

And as I was thinking of that, the Ohinasama were displayed, and as usual, I couldn’t find the position of the three courtesans this year, lol.

 

Have a good day.

 

 

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