中川浄益の建水が思い出させてくれるもの(覚王山 名古屋店より)
2020.12.09
お点前を嗜む方ならご存じでしょうか。
千家十職の一つ金物師の家、中川浄益の作品です。
この、『車軸建水』は十一代浄益の作品ですが、十一代が2008年に死去したあと
現在当主は空席となってしまいまいました。
日本の伝統工芸の灯が途絶えてしまうのは、実に残念ですね。
その十一代浄益は、大変深いお言葉を残しています。
『自分が作っているものは芸術品とも美術品とも思っていません。
お茶を嗜み、また楽しむための「用」があるお道具なのです。
私はそれを作る職人であり、複雑な金工の工程をとり纏めるプロデューサーなのです。
お茶の道具としての「用」には必ず「美」が加わっていなければなりません。
金属を使い「用の美」として使い易さとプレーンさを考慮して、
贅肉をそぎ落としたぎりぎりの美しさを常に求めてきました。』
職人といえどプライドを持ってその仕事に携わる限り、
スタッフYは職人は素晴らしい芸術家だと思っています。
残念なことに、この芸術家的職人がどの世界も少なくなっていると聞きますが、
この伝統や技術が途絶えぬよう、
興味を持つこと、知ること、手に取ることは
せめて凡人スタッフYができることでしょうか。
そんな気持ちをまた、浄益の建水が思い出させてくれました。