塗りの呼吸 (覚王山 名古屋店より)
2020.12.26
最近、「全集中の呼吸」ってよく耳にしますね。
某大ヒット映画のおかげで呼吸の大切さが改めて見直されているようです。
何にしろ集中しているときには自然と普段と違う呼吸になっていたりします。
また特に、手元の繊細な作業を行うときには知らず知らずのうちに
息を止めていたり、非常に気を使うものです。
スタッフTにとって呼吸と言えば
すぐ思い浮かぶのは「塗(ぬ)りの呼吸」
以前にもこちらで書かせていただきましたが、
京都の桂離宮では『昭和の大改修』が行われました。
その最後の難関が『パラり壁』_粒を残して仕上げる白壁です。
難しすぎて江戸時代に一度途絶えた技法なんです。
それに挑んだのが京都一の左官職人 小川久吉(ひさきち)さん。
コテ捌きから道具、材料の見極め...
技術も経験も右に出るものはいない誰もが認める名工。
その名人を以てしてもやり直しのきかない一発勝負。
小川さんは50年間1日100本吸い続けていた煙草を
スッパリ止めたそうです
_塗りの呼吸を整えるために。
偉業をやり遂げた小川さんは
これ以上の仕事は出来ないとコテを置きました。
そして使っていた100本のコテを後輩達に譲られたのでした。
譲り受けた左官職人奥田信雄さん曰く「武士の刀と同じと思いますね~。
急に自分が名人になった気になるときもありますね~」とのこと。
職人の力量は道具を見れば判るそうです。
やはり道具も、技術を支えるものとして大切なんですね。
後世に代々受け継いでいきたいもの、いろいろありますよね。
皆様の大切なもの、受け継ぐお手伝いをさせて下さい。
どうぞ御連絡お待ちしております。